宿に着いて荷物を置き、眠い目をこすりながらその日はヴェニス・ビーチとサンタモニカを回った。
何しろ、言葉がおぼつかないため、バスに乗るのも買い物をするのも一苦労。がっつりやられて宿に帰ってきた。
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 ロス市内。こんな背の高い木は日本にないだろう。
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夕食でも食ってとりあえず落ち着こう。アメリカの食事といえば、ぶっ厚いステーキ、どでかいローストビーフ、など、豪快でうまいものだと淡い期待をしていた。
ホテルのレストランで、その日の日替わりメニューであるビーフシチューを注文していた我々の前に現れたのは、普通のスープのように見えた。これは何だと尋ねると、クラムチャウダーだという答えが返ってきた。
「???」 おかしいと思いつつも、英語、アメリカのシステムをよく理解していないわれわれは何も言うことができず、とりあえず目の前にあるそれを口にしてみた。
「辛っ」
その味は「塩」だった。「塩」そのものだった。とても全部は食べられない。しかし、量だけはやたらと多いのだ。泣きそうになりながらながらスープをすする。するとそこへビーフシチューがやってきた。どうやらコースになっていたようだった。
まずいスープは下げてもらい、シチューを口にする。うまい、ような気がした。しかしそれはあくまで「比較的」であり、さっきのスープがあったからこその話だった。誰もが無言になる。
一緒に来たライスも食ってみた。なんだろう、洗剤のような味(匂い)がする。アメリカ人は日本人がする米を「とぐ」という作業を勘違いしてやいないだろうか。あれは「洗っている」のではないのだが・・・
以後、我々はおいしいものを食べることはあきらめることにした。
3月17日(土)
レンタカーを借りた。これで移動がぐっと楽になる。なんだか旅っぽくなってきたぞ。
しかし、レンタカー会社までバスで行ったので現在位置がぜんぜんわからなかった。
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 レンタカー内部
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「待てよ、今地図で確認するから・・・ってなんでもう走ってんだ?おい!」
「だいじょうぶだって。なんとかなるべえ。」
でかいこと言う割りにそいつはすでにウインカーと間違えてワイパー動かしている。今回の旅を象徴するかのようなやり取りだ。
しかし、適当に走っているうち、周りの様子がだんだんおかしくなってきた。家はだんだん粗末になり、黒人の割合が増えてきた。いつしか、我々以外は黒人だけになっていた。
明らかに低所得の黒人街に迷い込んでしまったようだ。みんなしてピカピカのレンタカーをじろじろ見てくる。
「ちょっと、やばくねえか、この辺。」 「早く引き返せ!」 転がるようにしてその場を逃げ出した。
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