3月27日(水)
サンフランシスコを離れるときが来た。ロサンゼルスまでは再びグレイハウンドで移動することになる。
ガイドブックによると、サンフランシスコからロスまではバスで8〜12時間。4時間もの開きが謎だったが、いずれにしろ移動で一日が消えてしまうだろう。
バスが出発。サンフランシスコからロスへはまっすぐ南下する形になる。フリーウェイをほぼ一本、ひたすらまっすぐで着くはずである。
しかし、バスは北東へ向かっているような気がした。
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またこの乗り物に苦しめられることになる・・・
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「まさかな。」 「きっと混んでる道を避けているんだろ。」
しかし、バスは確実に北東に進み続ける。それどことろか、センターラインもないような細い道をクネクネ走っていく。
どうやら、小っちゃなバス停をあちこち回る、JRでいえば鈍行列車のようなものに乗ってしまったようだった。間違えなく8時間でなく12時間のほうだろう。出発したのはpm2:35。到着するのは・・・考えるのもいやだった。
「am1:35」
よく見たらチケットに書いてあった。ああ・・・・。
しかしその後もバスは分岐点に来るたびに「→ロサンゼルス」と書かれた方と逆の方、逆の方へと進んでいく。やがて、「→ヨセミテ」なんて看板が見えてきた。ヨセミテはサンフランシスコから東へ350kmのところにある。
「まさかな。」 「きっと混んでる道を避けているんだろ。」
もはやその会話すらむなしくなってきた。
「オーウ、イエァー」
そんな時、後ろの座席から聞き覚えのある忌まわしい声が聞こえてきた。振り向くと、後ろの座席に座った友人が、隣に座った若い黒人の青年となにやらしゃべっていた。
ぼくはどうでもよくてかまう気もなかったが、会話が聞こえてくる。
「Are you a highschool student?」 (君は高校生かい?)
「ジャパーン!」
頬杖を着いていたぼくのひじがズルっと落ちた。郷ひろみじゃないんだから。まさか、冗談だろ・・・?
「Are ・ you ・ a ・ highschool ・ student?」
青年はゆっくり、はっきり、子供に話すように聞きなおした。
「オーウ、イエァ、イエァ。・・バケイション!」
「AH・・・」 青年は絶句していた。
アメリカで現地の人たちが話し掛けてくるとき、たいてい、
「どこから来たんだい?」 だとか、
「旅行かい?留学かい?」 などといった質問が多かった。
彼はその質問に対するぼくやもう一人の受け答えを見ていたためそんな間抜けな返答をしてしまったのだろう。
日本の英語教育のやり方の是非が問われている昨今。中学校で3年、高校で3年で計6年やっているにもかかわらず日本人は英語をしゃべれない。
そんな現状を身を持って証明してしまったこの男。しかしこれはいくらなんでも例外だろう。ひどすぎる。こういう人間がいるから海外で日本人はなめられるのだろうと思った。
しかしこういう人間に限ってカラオケでよく洋楽を歌ったりするのだ。
ロスに着いてからその日の宿を探す。バスの休憩時間にホテルに予約の電話を入れようと試みたていたのだが結局つながらなかったため、直接行くしかない。
こんな時間にもし部屋が空いてなかったら・・・不安でいっぱいだった。
幸い、すんなり泊まることができた。疲れていたぼくはすぐに床に着く。こんな時間に押しかけて、ホテルの人に申し訳ない気持でいっぱいだったが・・・。
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