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道東旅行記
TRAVEL NOTES (DOTO)
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 道東旅行・二日目

 

9月13日(土) 8:00

起床。朝から雨。

部屋が微妙に傾いていたため幾分腰が痛いが、そんなことは気にしていられない。荷物をまとめてブルートレインを出る。

道の駅のトイレに行って顔を洗い、歯を磨く。ちょうどおばちゃんが掃除をしている時間であった。

ものすごくいやな顔をしてこっちを見ている。

道の駅の横には 「レ・コード館」 という公共のホールのような建物があった。そこに大きな垂れ幕が下がっていてこう書いてある。

「町民の力を結集し行刑施設の誘致を実現しよう!」

行刑施設(刑務所など)の誘致、それは過疎化が進む町にとっては重要な活動である。見たところ新冠町も過疎の権化のような町なのでかなり真剣に取り組んでいるのだろう。

でもその隣にもう一つ垂れ幕が下がっていてこう書いてある。

「キム・ヨンジャライブ チケット4500円」

こんなもの誘致してる場合じゃないと思う。

9月13日(土) 9:00

競馬好きじゃない人はなんにも楽しくないだろうけど。

顔も洗ってすっきりしたところで本日の目的を果たすため出かける。まず、優駿スタリオンという牧場に行ってマヤノトップガンとオグリキャップに会ってきた。

オグリキャップ オグリキャップ

オグリが入っている囲いまでは近寄れず、遠巻きにしか見ることができなかった。だがその風格はさすがであった。

マヤノトップガン マヤノトップガン

囲いの近くまで行くことはできるのだが、こっちをじいっと見たまま奥の方から動こうとせず全然近くにきてくれない。引っ込み思案なのか。

ナリタブライアン記念館 そして一番の目的のナリタブライアン記念館へ。

ナリタブライアンは僕が一番好きだった馬で、活躍してた当時かなりのファンだった。自分の子供が走るかのようにドキドキしながら応援していたのを思い出す。そんなような気持ちになる馬は他にはいなかった。

記念館の中に入るとそこはブライアンの思い出の品でいっぱいであった。僕はもう入った瞬間から万感の思いが込み上げてきて泣きそうになっていた。

入口では白石を渡され、「ブライアンへのメッセージを残していってください」 と言われる。メッセージを書いた白石はブライアンの像の足元に敷き詰められるのだ。

だがそれを書いていたとき、突然僕の腹に猛烈な差し込みが襲った。とてもこらえきれず、慌ててトイレに駆け込みなんとか助かった。どうやら寝てる間に吹き込んでいた夜風と朝からの雨で腹が冷えたらしい。

メッセージに加え、内からこみ上げた熱い何かを残してきてしまった。

9月13日(土) 10:50

記念館を出て二番目の目的地、襟裳へ向かう。

しかし、一つ問題が発生していた。替えの靴下を持ってくるのを忘れていたのである。さすがにずっと同じ靴下じゃ辛いので途中で買うことにする。

新冠の隣の静内町にダイエーがあったのでそこで靴下を買う。三足で780円。非常によけいな出費だ。旅の予算をあらかじめ二万円と決めており、そのほとんどがガソリン代で消えるであろうからこんな出費でも痛いのだ。

買った靴下は蒸れないためにかメッシュ状になっている。この機能性を重視してるあたりがいかにもスーパーの靴下っぽい。

襟裳町に入る。ちょうど正午を回ったあたりだ。

岬へ向かう途中、暴風雨に襲われる。風で車が思いっきり振られるし横殴りの雨で50m先も見えない。非常に不安になってきた。

そして岬についた。天候を一言で言うと 「大惨事」 である。

9月13日(土) 12:05

着いたのはいいのだが。

襟裳岬はすごいことになっていた。叩きつける雨、かつて遭遇したことも無いような強風。もはや車から出たくもない。どうしよう、せっかく来たのに。

とりあえず昼食を取るため走ってレストハウスへ。

昼飯を食いながら様子を見て、天候が回復しそうだったら外に出るか。でもそんな気配は全く無かった。

「えりもラーメン」 というものを頼んだ。注文をとりに来た時、おば(あ)ちゃんの首元から何かが僕の目の前に落ちた。なんだろう?

それはピップエレキバンだった。

これはサービスなのか?なんか食べる前にみるみる食欲が失われていくのを感じた。言った方がいいだろうか?でも言いずらくて僕はそれを放っておいた。待っている間、僕のテーブルにはずっと使用済みエレキバンが乗っていた。エレキバン放置プレイ。

するとおばちゃんはラーメンを持ってきたときに素早くそれを回収していった。やはり恥じらいという名の感情がはたらいたのだろうか。おばちゃんが一瞬見せた女の側面。

「えりもラーメン」 はごくごく普通の家庭のラーメンみたいなのに気休め程度につぶと海藻が乗っていた。まあ、650円ならこんなもんか。もっとゴージャスそうなのもあったが金がないからそんな贅沢はできない。

食い終わってどうしようか考えながら売店をぶらつく。

売店で売っていたテレカ 売店でテレカを売っていた、

完全に刺さってなくてモノが見えてるのが生々しい だが、絵柄は全部こんなのばかり。お守りだかなんだか知らないが何でこんな写真を使うのだろう。

旅先まで来てこんな写真ばかり撮ってる僕 これなんかこうして並ぶとなんだかかわりばんこにやってるっぽい。「よし、次おれが上な〜」 みたいな。

もちろんこの写真を撮ってるときも店員にとてもいやな顔をされた。

9月13日(土) 12:40

外は相変わらずの暴風雨。

覚悟を決めて外に行くことにする。厚手のナイロンジャケットを持ってきていたのでそれを着て展望台の方へ。

襟裳岬 岬の先端までやってきた。

しかし視界は数十メートル。息もできないくらいの風。見えるのは荒れ狂う海と爆風のように押し寄せる雨だけである。ここまで来ると笑ってしまう。
動画(1.1MB)

すごいのはこんな時でもあたりに観光客がいることだ。こんな天気なのに普通に景色を楽しもうとしてる。無理しすぎだろう、って人のこと言えないか。

しかしこんな目にあってまでみんなよく来るよな みんなこんな感じ。

なんだろう。よく台風中継とかでこういうような映像を見かける。何でそんな場所に自分がいるのかを考えると切りがないのでやめる。周りの人はみんな同じカッパを着ている。売店あたりで売ってたのだろうか。

観光地なのに楽しそうにしてる人は一人もいない。

9月13日(土) 13:05

台風みたいとか思ってたらホントに台風だったのか。

襟裳岬を出発して今日の宿泊予定地である帯広に向かう。途中、悲恋沼というのがあったのでよってみる。なんかそそる名前じゃないか。金田一少年とかに出てきそうな名前だ。伝説の一つや二つでもありそうな。

写真から想像できる以上に小さい 悲恋沼。

なんだかすごくしょぼくてがっかりする。

気を取り直して帯広へ向かう。襟裳岬にいた時よりも風はおさまったが雨は降り続いている。僕はどこに寄るでもなくひたすら車を走らせ続けた。

16:00。思ったよりあっさり帯広についてしまう。

これず〜っと向こうまで一つのベンチです まず、世界一長いというベンチを見に行く。

2世紀帯広??

何でベンチの長さで競おうと思ったのか謎だが、そんなことはどうでもいいのだ。世界一であることに意義があるのだろう。ギネスブックにも載っているらしい。

竣工期間たったの七日 しかし、意外とたったの7日で完成している。

ギネスは案外近いとこにあるのかもしれない。

9月13日(土) 17:45

相変わらずの雨男ぶりを発揮。台風のバカヤロウ。

見たいところはいくつかあったのだが、あまりの雨のため行く気が失せる。とりあえず宿を確保して夕飯を取りに行く。

帯広駅前を通ると長い行列ができていた。なんだろうと思い見てみると、どうやらそこが豚丼の発祥の店らしい。(豚丼は帯広の名物)

せっかくなので行ってみることにする。

実はすごい有名な店だったらしい 豚丼のぱんちょう

「伊東?」 という誰もが思いつきそうなツッコミは心の中にしまいこんでおく。

店の横の細い路地に駐車しようと車で入っていくと、パトカーがいたので断念、そのまま通り抜け、普通に駅の駐車場に止めることにする。

しかも、後から気付いたが一方通行を逆走していた。

どうりでパトカーの中の警官が唖然としてこっちを見ていたわけだ。目の前であまりにも堂々と逆走していったので言葉も出なかったのだろう。無意識のうちにえらい挑発的な行為をやってしまった。

そんなこんなでありつけた豚丼はなかなか美味しかったよ。

9月13日(土) 19:00

腹も膨れたところで。

十勝川温泉に行く。効能を見ると 「美人の湯」 らしい。でもいつものことだが効果を実感できるような人は一人も見当たらない。

温泉の最大の効能は 「その気になる」 ことである。

10:00。宿に帰ってくる。部屋に入るとバイカーが一人、すでにシュラフに入って寝ていた。次の日は朝の3時起きらしい。寝かせてあげないと。

ようやく人と会ったのにまたしても交流はできず。

その人に悪いので電気を暗くして静かにしている。一人で本など読んでいたが、つまんないので自分もさっさと寝る。

外の雨はますます強くなっている。明日大丈夫か?

 

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