BangLassie
道東旅行記
TRAVEL NOTES (DOTO)
TEXT TOP  | 1 | 2 | 3 | 4 | 5
 道東旅行・四日目

 

9月15日(月) 10:00

今日もいい天気!

時間と金が底を尽きたので今日が旅の最終日となる。中標津に住んでいる友達と会い、こっちの方を案内してもらう。どこを見に行くか話し合った結果、知床半島まで行って知床五湖とカムイワッカの滝に行くことにする。

無計画のまま出かけて、とうとう北海道の東端まで来てしまった。今日一気に札幌まで戻るのでかなりの過密スケジュールである。そういうこととガソリンの残量を踏まえ、僕の車は置いて知床までは友達の車で行くことになった。

久々に人の車の助手席に乗る。なかなか楽ちんだ。

しばらく走って峠の上、とても見晴らしのよいところがあったので車を止める。海を一望、少し先には北方領土が見える。すばらしいロケーションだ。

しかし車の外に出たとたんものすごい強風が僕らを襲う。「寒っ」

外は風が強い上にけっこう高度が高かったため空気が冷たくてめちゃくちゃ寒い。風が強いので景色が遠くまできれいに見えるのだが、あまりの寒さに耐え切れず、すぐに車へ。

しかもドアをあけた瞬間、中にあった地図などの紙が風にあおられて外に飛び出した。中を舞う紙を慌てて追いかける僕。金持ちがばらまいた札を必死でキャッチしようとする貧乏人みたいな感じになってしまった。

どこに行ってもコント的なことをしてしまう運命を背負っているのか。

9月15日(月) 12:40

笑っちゃうくらい遠くまで来た。

知床五湖に到着。その名の通りアメリカの五大湖のように狭い地域に五つの湖が点在している観光スポットである。

ただ、そのそれぞれの名前は一湖、二湖、三湖、四湖、五湖だ。そのままじゃん。

もうちょっとやる気を出してネーミングしてもいいような気がしないでもない。全部回ってると時間がなくなるので、近いとこにあるやつだけ見ることにする。まずは一湖に行くために林の中の道を行く。

ソフトクリームを食べながら歩いていたのだが、湖から戻ってきたおじさんに 「このあたりは熊が出るから食べ物を持ち込んじゃダメ!」 と怒られる。よくみるとあちこちに熊注意の看板が。引き返して全部食ってから再び行く。

下町のナポレオンみたいな名前 一湖。

今回の旅の中で一番きれいな写真が撮れた。晴れ渡る空、穏やかな湖。湖面に鏡のように映りこむ景色。最高である。

二湖 二湖。

こちらはわりと鬱蒼とした森の中に突然ポコンと現れるのでなかなか神秘的な感じだ。

特におもしろエピソードもなく次へ行く。

9月15日(月) 14:30

カムイワッカの滝 カムイワッカの滝に着いた。

ここは滝自体が温泉で、しかもその中を鮭のように登って行くというかなりアグレッシブな観光スポットである。

裸足だと危ないというので、滝の下でわらじをレンタルしてるおじさんがいた。一足500円。高い。しかもおじさんの極めて商業的なトークがかなり気に食わなかったが、一応借りる。

わらじも履いたし さあ、登るぞ。

外はとても寒かったが、足元を流れる温泉は温かいし、言わば遡上に近い運動をしているため、だんだん体も温まってくる。なんか子供の頃に戻った感じだ。スゲー楽しい。僕はかなりはしゃいでいた。

タウリン1000mg配合 こんな感じ。

画的に風雲たけし城っぽいな。

上のほうに行くと滝壷があって、そこでそのまま入浴することができる。だが、何も用意をしてなかったので残念ながらそれはできなかった。今度行ったときはぜひ入ってみたい。

今回の旅の中で一番よかった場所である。

9月15日(月) 15:20

いよいよ大詰め。

来た道とは違う、オホーツク海側を通って中標津への帰路につく。途中の山道で野生の鹿を見つけた。

客にケツを向けるな! 鹿の尻って白いんですね。

斜里町の港のそばにある寿司屋で食事を取ることにした。

おかみさんがメニューとお茶を持ってくる。40ちょい前くらいだろうか。なかなかの美人である。「いらっしゃいませ。」

しかしその声が綾戸智絵ばりに激しく太くてハスキーなのでそのビジュアルとのギャップに驚く。なんというか、一言で表すと「重低音」である。ウーファーボイスおかみ。ミセスコントラバス。

おいしそうでしょ〜 知床丼というのを頼んだ。

この旅行で一番の、というか唯一のご馳走を満喫する。やはり新鮮な海の幸は最高である。お値段は2000円なり。

「食は知床にあり」 を肌で実感。

9月15日(月) 16:40

オシンコシンの滝 オシンコシンの滝に着く。

これもこの地方では定番の観光スポットらしく、ツアー客らしき人達がいっぱいいてかなりにぎわっていた。海の方を見るとちょうど夕日がきれいに見え、これ以上ないくらいのロケーションだ。

滝を見ておやっ、と思った。僕はてっきり滝が二本並んでいるものだと思っていたのだが、滝は一本だけである。言ってる意味がわかるだろうか。

僕は 「オシン」 と 「コシン」 という滝があると思っていたのだ。

そのことを言うと、「そんな人初めて!」 と友達に大爆笑された。そうかなあ、あからさまにお笑いコンビっぽい名前だと思いませんか?

駆け落ちしたオシンとコシンが投身自殺を…とか勝手に伝説まで考えていた。

9月15日(月) 18:35

関係ないが、うちの母親も結婚して漫才コンビみたいな名前になりました。

中標津に戻り、友達と別れ札幌へ向け出発。その距離420kmを一気に走り抜ける。着くのは恐らく夜中、ガソリンの残りは半分くらい、所持金は2000円。けっこうギリギリである。

途中で給油をしなければならないので、距離的にちょうどよい富良野経由のルートを採ることに決めた。ついでに今回通らなかった阿寒湖にも寄ることにする。次の日はラジオ局の引越しがあるのでなるべく早く帰りたい。

土産物屋の前につながれていた子ギツネ 八時ごろ、阿寒湖に到着。

湖畔に車を乗り付け外に出る。せっかく来たが、やはり真っ暗で何も見えない。おまけにものすごく寒い。さっさと車に戻る。

阿寒湖を出て山道をひた走る。平均時速は120キロ。夜で車はほとんどいないので2車線をフルに使って走る。アウトインアウト、街中で同じ車を見たらたいてい初老の夫婦が乗っているオッサン車とは思えない走り。

足寄町、士幌町、鹿追町、進徳町を抜け、ようやく青カンに富良野の文字が現れた。ガソリンの残りはもうほとんど無い。間に合うのか。

場所が場所だけに、ガス欠、イコール「遭難」を意味する。

9月15日(月) 10:30

スリリングなドライブになって参りました。

富良野市街に入る。しかしここで大誤算。富良野【市】なんだから開いているガソリンスタンドくらいあるだろうとタカをくくっていたのだが、スタンドはことごとく閉まっている。

一気に青ざめる僕。

だが、必死で走り回る僕の眼に飛び込んできた、煌々と輝く【エネオス】の看板。まだやってるセルフスタンドがあったのだ。まるでそこが天国に思えた。2000円分給油。これでもう札幌までは十分だ。

富良野まではよく行くので、ここからはもう慣れた道。桂沢湖の横を通り、岩見沢を抜ける。江別に入ったところでいつもの近道に入ろうとして一本間違えたが、同じ方向だからいいだろうと知らない細い道をそのまま走った。

だが、気がついたらいつの間にか墓地に迷い込んでいる。

ここに来てまた初日と同じ失敗をやらかしてしまった。気がついたら周りは墓石だらけ。その中でおろおろしてる僕の車。慌ててぐるぐる回ってもと来た方に戻る。こういうのを世間では不審車というんだろうな。

最後の最後まで息をつかせてもらえない。

9月16日(火) 0:25

無事札幌の家に帰ってきた。

けっこう飛ばしただけあって思ったよりだいぶ早く帰ってこれた。こうしてみると道東もそう遠くないんじゃないかと思える。いや、そんなことはないか。

思い付きから始まった無計画な今回の旅行。始めはこじんまりとしたものになるんだろうと思っていたが、なかなか充実したものになった。

あまりの無謀さに直前になってやっぱり止めようとかも考えたのだが、今しか恐らくもう機会が無いであろうということで結局行くことにした。そしてそれは正解だったといえる。

最近は早く出たい出たいと思っていた北海道だが、やっぱりすばらしい所だ。

そして、一人旅だったので見たもの触れたもの感じたものがより深く心にこびり付いたような気がする。この得られたものを大切にしたい。この先、この地を離れてもずっと。

車にこびり付いた大量のつぶれた虫はすぐに洗い落とす。

 

―THE END―

 

▲ページのトップへ


TOP PAGE
contents
ABOUT THIS SITE
SHORT DIARY
WORKS
TEXT
MUSIC
BBS
LINK
Please click the upper items !