まず、高速道路料金。
当初、普通に所々高速を使うつもりでこのルートを組んでいた。だが、出発一週間前になって高速道路の料金を確認した僕は、次の瞬間、愕然として座高が5センチ縮んだ。
「高い!!」 (too expensive !!) 思わず冬季オリンピックのスノーボードの解説者のように叫んでしまった。
普段高速など使わないので、こんなに高いものだとは知らなかった。このまま予定通りのルートを採ったのでは、あっさりと予算オーバーだ。となると、ほとんど、というか基本的に高速には乗らず、走る時間を増やしてその分走行距離を稼ぐしかない。
例によって、ますます過酷になっていく一方だ。というか過酷を通り越して、本当に実行可能なのか怪しいレベルにまで達している。
とりあえず、途中寄り道する予定だった所はことごとく回避し、ひたすら一日中走り続ける、ということになりそうだ。いよいよ罰ゲームに近くなってきた。
そして二つ目の誤算。これなんかはもっとひどい。
帰りは、これまで行ったことのなかった四国を通って大阪まで来ようとしていた。九州から四国に渡り、そして本州へ。どうやって?
そう、僕は九州と四国が繋がっていると思い込んでいたのである。
何をどう勘違いしていたのか自分でもわからないが、九州と四国の間にも瀬戸大橋的なものが架かっていると信じて疑っていなかった。
だが、地図で四国と九州の距離が一番狭まっている所 ―僕が橋が架かっていると思っていたところ― をいくら見ても、そこにはただただ海が、大海原が広がっているだけだった。ここをバイクで渡るのはちょっと勇気がいる。
いやぁ、海は広いね大きいね。
結局、来た時と同じように、中国地方を回って帰らないといけない。いずれにしても、具体的な道順やどこに泊まるかなど、帰りの予定はほとんど考えていなかった。そもそも鹿児島から二日で東京に戻ってこれるのかはいよいよ怪しい。
このように、行く前から既に暗雲がモクモクと立ち込めていたのである。
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